1.忙しい新学期

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何やかんやあって昼休み。朝からぶっ通しで転校生が騒いでいる。 「俺、学食行ってみたい!!」 そしてその横には一ノ瀬と……如月?いつの間に…。如月大雅(きさらぎたいが)は赤髪に強面の不良として有名人だ。ファンクラブ持ちでもあるため、生徒からの人気は高い方だ。また厄介なの引っ掛けやがって。 「あの2人侍らすとか、あいつなかなかのもんだね」 「俺も学食行く」 感心している栗見をよそに、転校生を追いかける。そして栗見も慌てて俺を追いかける。 「ちょっ、風紀の仕事は?」 「今日は転校生の動向見張れってさ」 誰が好きで、あんなやつら追っかけるかよ。風紀委員長はやはり鬼だ。自分は風紀室いるくせに、面倒事押し付けやがって。 ―学食の扉前。 「うわー!!でっけー!!」 扉がでかいと騒ぐ転校生。その間に俺と栗見は耳栓を付ける。 「よっし、開けるぞ!!」 「あっ、ありすちょっと待って……!」 一ノ瀬の静止を聞かず、転校生が扉を開ける。やめときゃいいのに…。 「「「キャーーー!!!」」」 「な、何だっ?!」 ほら見ろ、耳やられて苦しんでる。一ノ瀬と如月が両方いっぺんに現れて、チワワ達がいつも以上に騒いでる。うるせぇ。 「何あの黒いの…」 「不潔」 中には転校生に対する不満もチラチラと聞こえてくる。 「俺オムライス食いたい!!」 そんな声を気にせず騒ぐ転校生。能天気だな。如月が周囲を睨みつけてから、転校生達と共に席につく。 「ねぇねぇ木島。何頼む?」 「焼き魚定食」 「相変わらず渋いの選ぶね」 じゃ僕はパスタにしよっと、と栗見は備え付けのタッチパネルを操作して注文する。この学園無駄なところに金かけすぎなんだよな。 ちなみに俺は特待生で役職持ちのため、授業料も学食も無料である。しかし、普段は風紀の仕事で学食に行く暇さえないので、風紀室までデリバリーで届けられているものを適当に食ってる。そのほとんどが洋食だ。俺は和食に飢えている。 「こちらパスタと焼き魚定食になります」 「「ありがとうございます」」 2人でウェイターのお兄さんに礼を言う。 そして、焼き魚を一口。 「…美味え」 「…木島のテンション上がるポイントが、未だ僕には理解できない。あと、やっぱり表情あんまり変わってないからね」 和食は日本人の伝統だ。そういえば、あいつもこの前俺のために和食を勉強して作ってくれたな。自分は洋食派なのに。 「……やっぱり木島がわかんない」 何故そこで微笑むの、とつぶやく栗見。やばい、顔に出るとか気緩めすぎた。 「「「「「キャーーーー!!!!」」」」」 突如先程とは比にならない位の黄色い悲鳴が上がる。もしかして── 「生徒会だ!!」 あぁ、やっぱりな。 「しかも全員?!」 「律様!陸様!お可愛らしい…」 「朝倉様〜!抱いてぇ!」 「小波様……!癒やされる…」 「女王様こっち見てくれ…ハァハァ…」 「会長様ああああああ!!!」 えげつないくらいの興奮とざわめきが周囲を覆う。すっごい耳が痛い。 「静まれ」 一声でカフェテリア内を沈めたのは会長だった。
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