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何やかんやあって昼休み。朝からぶっ通しで転校生が騒いでいる。
「俺、学食行ってみたい!!」
そしてその横には一ノ瀬と……如月?いつの間に…。如月大雅は赤髪に強面の不良として有名人だ。ファンクラブ持ちでもあるため、生徒からの人気は高い方だ。また厄介なの引っ掛けやがって。
「あの2人侍らすとか、あいつなかなかのもんだね」
「俺も学食行く」
感心している栗見をよそに、転校生を追いかける。そして栗見も慌てて俺を追いかける。
「ちょっ、風紀の仕事は?」
「今日は転校生の動向見張れってさ」
誰が好きで、あんなやつら追っかけるかよ。風紀委員長はやはり鬼だ。自分は風紀室いるくせに、面倒事押し付けやがって。
―学食の扉前。
「うわー!!でっけー!!」
扉がでかいと騒ぐ転校生。その間に俺と栗見は耳栓を付ける。
「よっし、開けるぞ!!」
「あっ、ありすちょっと待って……!」
一ノ瀬の静止を聞かず、転校生が扉を開ける。やめときゃいいのに…。
「「「キャーーー!!!」」」
「な、何だっ?!」
ほら見ろ、耳やられて苦しんでる。一ノ瀬と如月が両方いっぺんに現れて、チワワ達がいつも以上に騒いでる。うるせぇ。
「何あの黒いの…」
「不潔」
中には転校生に対する不満もチラチラと聞こえてくる。
「俺オムライス食いたい!!」
そんな声を気にせず騒ぐ転校生。能天気だな。如月が周囲を睨みつけてから、転校生達と共に席につく。
「ねぇねぇ木島。何頼む?」
「焼き魚定食」
「相変わらず渋いの選ぶね」
じゃ僕はパスタにしよっと、と栗見は備え付けのタッチパネルを操作して注文する。この学園無駄なところに金かけすぎなんだよな。
ちなみに俺は特待生で役職持ちのため、授業料も学食も無料である。しかし、普段は風紀の仕事で学食に行く暇さえないので、風紀室までデリバリーで届けられているものを適当に食ってる。そのほとんどが洋食だ。俺は和食に飢えている。
「こちらパスタと焼き魚定食になります」
「「ありがとうございます」」
2人でウェイターのお兄さんに礼を言う。
そして、焼き魚を一口。
「…美味え」
「…木島のテンション上がるポイントが、未だ僕には理解できない。あと、やっぱり表情あんまり変わってないからね」
和食は日本人の伝統だ。そういえば、あいつもこの前俺のために和食を勉強して作ってくれたな。自分は洋食派なのに。
「……やっぱり木島がわかんない」
何故そこで微笑むの、とつぶやく栗見。やばい、顔に出るとか気緩めすぎた。
「「「「「キャーーーー!!!!」」」」」
突如先程とは比にならない位の黄色い悲鳴が上がる。もしかして──
「生徒会だ!!」
あぁ、やっぱりな。
「しかも全員?!」
「律様!陸様!お可愛らしい…」
「朝倉様〜!抱いてぇ!」
「小波様……!癒やされる…」
「女王様こっち見てくれ…ハァハァ…」
「会長様ああああああ!!!」
えげつないくらいの興奮とざわめきが周囲を覆う。すっごい耳が痛い。
「静まれ」
一声でカフェテリア内を沈めたのは会長だった。
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