13.体育祭の始まり

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栗見の短距離走の後、玉入れを終えた俺は風紀の仕事のため本部にいた。 次の種目がパン食い競走……地獄の始まりだ。 「さて、やってまいりましたパン食い競走!皆のもの準備はいいかーーーー!!」 うおおおお、と答えるように歓声が上がる。放送部は今日一日このテンションでやっていくのか。 「それではーよーい…」 出場者はパン!という合図ともに走り出した。 「さあ、はじまりました!…おっ現在トップは保険副委員長の松永琉(まつながりゅう)だ!」 松永琉は抱かれたいランキング12位のツンデレヤンキー系受けとして知られている。 金髪で服装がまさに不良って感じだが、身長はちっこく、顔も童顔のためあまり怖くない。 不本意な顔して走ってるからおそらくじゃんけんに負けたんだろうな。 「さあ彼が選ぶパンは…食パン!」 ほとんどのパンは、パン食い競走らしい、アンパン、食パン、メロンパン等、王道のパンだ。 しかし、ソーセージパン、ホワイトチョココロネ、コッペパン、フランスパン等、長いものだったり中に白いクリームが入っていたりするものもある。これらは絶対に避けたいところだか… 「おっと…松永選手身長が足りません!食パンは難しそうです!」 この競技の悪いところは低身長だと必然的に長さのあるパンしか選べないんだよな。 「松永選手、諦めて選んだのは……ソーセージパン!!」 松永は嫌嫌といった感じで、ソーセージパンをくわえようとして口をパクパクしながら飛ぶ。確かに暑さで頬が赤く、汗をかいてるから卑猥にも見える。 それを見て男たちが盛り上がっている。 「さてさて次々と他の選手もやってきます!」 地獄絵図としか言いようがない。トイレに向かう男どもが増加した。 一方転校生は周りの視線を一切気にせず、低身長にも関わらず大きくジャンプしてアンパンかっさらっていった。 そこら辺から微かにパシャパシャと写真部が連写している音が聞こえる。 後で写真部のところへ行って今の写真を確認しないといけなくなった。 一言だけ言わせてほしい。 はやく終われ。
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