14.まさかのハプニング

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14.まさかのハプニング

なんだかんだで昼休みも何事もなく終わり、午後の大縄跳びと教職員対抗リレーも無事終わった。 教職員対抗リレーで顔がいい人気のある先生は黄色い声援を受けていたが、人気のない先生は全く見向きもされず、差がすごくて可哀想だった。 ごめんな先生。顔がいいやつだけが生き残れる学校だから。 「誰か!次出れる人いない?!」 「どうしたんだ?」 クラスの体育委員が焦った様子で入ってきた。 「次出る濱野君がさっき階段で怪我しちゃって、誰か代わりに出てほしいんだけど…」 「次の種目って…仮装リレー?」 絶対誰も出たくない種目第1位だ。仮装リレーは一見楽な競技に見える。50メートルほど走った先にカーテンで四方が仕切られたところがあり、そこで用意された服に着替えて一周走るだけだ。 しかし、問題はその衣装にある。猫の着ぐるみや妖怪の衣装ならまだいいほうだ。ナース服やメイド服にあたったら最悪としか言いようがない。チワワならまだいいが、筋肉まみれの男が着たら地獄すぎる。 では、なぜ俺が種目選びのときに安心していたかと言うと、仮装リレーは前年の体育祭の個人成績順位を反映して低いクラスにいたやつからほぼ強制的に出さされるという風習があるからだ。何故かは知らないけど。 去年俺は好成績だったから大丈夫だと思っていたのに。 「今回の体育祭で一種目しか出るつもりなくて、かつ仮装リレーの後何の予定もないやつを探すか」 「それだと木島も当てはまるよね?」 「栗見……お前も当てはまるけど?」 すかさず言い返す。俺はぜっっっったいに出たくない。 「そう考えたらあと…如月もそうだな」 「……俺かよ」 転校生がどっかに行っているため不機嫌マックスの如月。俺たち3人は公正にじゃんけんすることにした。 「栗見、俺はグー出すからチョキ出して」 「やだ!何で負けなきゃいけないの」 「栗見がやる方が誰も不幸にしない」 「たとえ僕でもメイド服やらナース服やらは着たくないから」 「お前らうるせえ。はやくじゃんけんしろよ」 「如月、お前もするんだよ」 「……ちっ」 そして、俺たちは正々堂々とじゃんけんに挑んだ。 そして…… 「木島、お疲れ様。頑張ってね」 「…こうなったら腹くくる。せめてマシなの当たるよう祈る」 日頃から人のためにあんだけ働いているのにこの仕打ちか。神様がいるならぶん殴りたい。 「木島くん、はやく!もうはじまるから!」 体育委員に急かされるまま俺は選手の列に並んだ。 「それでは次の種目は皆様お待ちかねの仮装リレーです!」 最悪な気持ちでリレーは始まった。まず処刑台に上がるのは1年生からだった。 「ぐふっ、スタート!」 放送部が気持ち悪い。
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