14.まさかのハプニング

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「さあ、何の衣装が見られるでしょうか!着衣場所に入っている人が現在3人!」 可哀想に。今出場している選手をざっと見たところ可愛い系のやつが数人、柔道部の生徒らしきやつが1人いた。 「さあ、出てきたのは…花井選手!おおっスク水の姿で登場です!」 出てきたのは花井という可愛い系の男子だった。顔が童顔で身長も低いから小学生女子に見える。つまりロリコンが湧きそう。観戦する生徒は大盛りあがりだ。 「かわいい…おっと失礼。さあぞくぞくと出てきます!王道のナース、ヴァンパイア……そしてセーラー服!女子高生に扮する柔道部の郷田くんを讃えましょう!」 放送部、お前は聴衆の前でぱっつんぱっつんのセーラー服着て走っている郷田の気持ちを考えろ。羞恥心で顔真っ赤になって走ってるのに。自分もああなるかと思うと寒気がする。しかし、無慈悲にも時間はやってきた。 「では2年生の皆さん、用意はいいですか?」 良くない。 「では、スタート!」 仕方なく俺は走り出す。もういい。何が出ても堂々と1位かっさらってやる。 「さあ、今回の選手には風紀の副委員長はともかく、なんと抱かれたいランキング4位の一色静(いっしきしずか)様がいらっしゃいます!」 ともかくって何だ、なんでそこに俺を出した。喧嘩売っているのなら買うが? ……いや、落ち着け。 まず説明しよう。抱かれたいランキング4位で、広報副委員長でもある一色静は、高級旅館を全国展開して経営する一色家の長男だ。クール系美人であり、生徒からの人気も非常に高い。向こうはSクラスだから事情は知らないけどよく出場させたな。 そして色々考えつつ、着衣場所に入る。お願いだ、女装は嫌だ。それ以外ならなんでもいい。そして衣装を見る。 これなら……マシな方じゃないか?嫌といえば嫌だけど。 「お、一番に風紀副委員長が出てきました!なんと…王子様の衣装です!」 まあ見た目で言えば白い軍服に近いかもしれない。肩についているのとかはちょっと派手だと思うけど、許容範囲ではある。女装じゃないし。 「そして二番目に着替え終わったのは……一色様です!まさかの対になるようにプリンセス姿!美しい!高貴!」 俺は既に走り出していたがちらっと後ろを振り返ると、青いドレスを着た一色がいた。さすが抱かれたいランキング4位に選ばれただけあって似合っている。だけど、少し走りにくそうと思った瞬間、一色はずてっとこけた。うわ、痛そう。 「おおっと、一色様大丈夫でしょうか?!」 うつむいているのでわからないけど泣きそうに見えた。多分こんなリレー出さされている時点で運動音痴だろうし、きっと出るの嫌だったんだろうな。俺も嫌だし。 そのまま気にせず走ろうかとも思ったけど、まあ……今日は王子様だし別にいいか。かっこつけても。 「えっ、風紀副委員長が逆走しているぞ?!」 俺はそのまま一色のもとに向かった。 「一色さん」 「え…風紀の」 顔を見るとやっぱり半泣きだったから、戻ってきてよかった。 「ちょっと失礼します」 「えっ?!」 「「「「っきゃあーーーー!!!!」」」」
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