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簡潔に言うとお姫様抱っこした。多分おんぶするより走りやすいし。
「うえっ?えっ?」
「俺の首に手回してください。結構スピード出すんで」
そして俺はかつてないほど本気で走り、前を走っていたやつらをごぼう抜きして1位をかっさらった。
普段風紀で鍛えている筋肉を舐めないでほしい。
「な、んと1位、同時ゴール!まさに姫を救う王子!見事です!」
かっこつけたけど、全力疾走しすぎて物凄く疲れた。汗もすごい。
「あの……」
「あ、すいません。余計なことして」
というか今更だけど、親衛隊の反感買うこと考えてなかった。やばい。
「いや、そんなことないよ。僕が泣きそうなの知ってて助けてくれたんでしょ?本当にありがとう」
深々と感謝されて、まあ大丈夫かと開き直る。一色の親衛隊治安良いし。
何度もお礼を言う一色にお構いなく、と言って体操服に着替えて自分の席に戻ると、栗見がじーっと見てきた。横では一ノ瀬が笑っていた。
「何?」
「木島のくせにちょっとかっこよかったんだけど」
「うん。本当に王子様みたいだったよ」
「……恥ずいからやめて」
自分でも柄じゃないことしたとは思っているし、素直に感想言われるとめっちゃ恥ずかしい。
「あ、ちょっと赤くなってる。照れてるの?」
「からかうなら、書紀にお前の寝顔写真見せるから」
「やめて!!からかわないから!」
──そして、その後の騎馬戦と学年対抗リレーも存分に盛り上がり、体育祭は終了した。そして疲れた体で風紀の仕事を片付けた後、部屋に帰ってベットで爆睡した。
ちなみに騎馬戦は帝が出ていたけど、当然一番に輝き、やっぱり俺の彼氏最強だと思った。本人には言わないけど。
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