14.まさかのハプニング

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簡潔に言うとお姫様抱っこした。多分おんぶするより走りやすいし。 「うえっ?えっ?」 「俺の首に手回してください。結構スピード出すんで」 そして俺はかつてないほど本気で走り、前を走っていたやつらをごぼう抜きして1位をかっさらった。 普段風紀で鍛えている筋肉を舐めないでほしい。 「な、んと1位、同時ゴール!まさに姫を救う王子!見事です!」 かっこつけたけど、全力疾走しすぎて物凄く疲れた。汗もすごい。  「あの……」 「あ、すいません。余計なことして」 というか今更だけど、親衛隊の反感買うこと考えてなかった。やばい。 「いや、そんなことないよ。僕が泣きそうなの知ってて助けてくれたんでしょ?本当にありがとう」 深々と感謝されて、まあ大丈夫かと開き直る。一色の親衛隊治安良いし。 何度もお礼を言う一色にお構いなく、と言って体操服に着替えて自分の席に戻ると、栗見がじーっと見てきた。横では一ノ瀬が笑っていた。 「何?」 「木島のくせにちょっとかっこよかったんだけど」 「うん。本当に王子様みたいだったよ」 「……恥ずいからやめて」 自分でも柄じゃないことしたとは思っているし、素直に感想言われるとめっちゃ恥ずかしい。 「あ、ちょっと赤くなってる。照れてるの?」 「からかうなら、書紀にお前の寝顔写真見せるから」 「やめて!!からかわないから!」 ──そして、その後の騎馬戦と学年対抗リレーも存分に盛り上がり、体育祭は終了した。そして疲れた体で風紀の仕事を片付けた後、部屋に帰ってベットで爆睡した。 ちなみに騎馬戦は帝が出ていたけど、当然一番に輝き、やっぱり俺の彼氏最強だと思った。本人には言わないけど。
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