閑話 帝が拗ねてるだけ

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閑話 帝が拗ねてるだけ

休日、帝の家にて。 帝が拗ねてる。俺が体育祭で王子様の仮装をした挙げ句、一色をお姫様抱っこしたから。 「帝」 「……」 「みーかーど」 「……ふん」 だめだ、完全に拗ねてる。 「ごめんって」 「……」 「でもさ、あそこで俺が一色さんのこと放っていったほうが良かった?」 「……怪我したやつの代わりに走ったことも、一色を助けたことも、お前が善意でしたことはわかっている。けど、やっぱりむかつく」 「じゃあ、帝にもしてあげようか?お姫様抱っこ」 「嫌だ」 即答で返ってきた。まぁ、そういうとは思ったけど。……さて、どうやって機嫌直そうか。 「じゃ、帝がしてほしいこと何でもするよ」 「…本当に何でもいいんだな?」 「いいよ」 簡単に何でもいいというのは良くないと言うけど、まあ帝相手ならいいか。よっぽどのことがない限り変なことはお願いしないだろう。 「じゃあこれ着てくれ」 そう言って部屋のクローゼットの奥からごそごそと何かを引っ張り出したかと思ったら、茶色い紙袋を渡された。のぞいてみると…… 「……まじか。これ本当に着なきゃだめ?」 「だめだ。何でもしてくれるんだろ」 中にはメイド服が入っていた。まじか……。というか、そんなに準備がいいということはいずれ着せるつもりだったのか。 「……俺が着るとか、誰が得する?」 「俺が得する」 そしてその後も数分攻防をくり返したけど、結局着ることになった。わざわざ別室に行って着替え終わってから再び帝のところに戻ってきた。 「着たよ」 「……」 反応なしか。やっぱり似合わないだろう。そう思った途端お姫様抱っこされた。ちらっと顔を見るとあ、やばいと思った。 その後の展開はご想像にお任せするが、休日の真っ昼間からやることではなかったとだけ言っておく。
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