184人が本棚に入れています
本棚に追加
*
放課後風紀室に仕事に来たが、ドアに手を伸ばすと何やら悪寒がする。仕事のし過ぎで風邪でもひいたか。
『なあ、黎人!!!』
ああ……扉の向こうから聞き覚えのある嫌な声がする。ものすごく入りたくない。最近絡まずに済んでいたのに。帰るか、否か。
『なあ!!!』
うるせえ。委員長こんなの相手にしているのか……。流石に委員長が可哀想だから、入るか。
「失礼します」
「あ、お前!」
「助かった…」
多分結構長い時間相手してたんだろうな、と察せるくらいに委員長はげっそりしていた。目の前であんな爆音で長時間話されたら鬱になりそう。ずっと連れ添ってる如月とか、もはや既に死体だと思う。
「俺、お前に話があるんだ!!」
「俺にですか?」
「お前、木島稔だろ?!俺と決闘しろ!!」
「いや、」
「断ったら漢じゃないからな!」
断ることすら防がれる。
「まあ、普通に断りますけど」
「何で?!」
「それはこっちの台詞です。何で決闘したいんですか」
「それは…おまえが俺のライバルだからだ!!」
何を言ってるんだこいつは。そういえば星祭りのときにそういうことを言っていた気がする。
「いつからライバルになったんですか」
「やっぱり覚えてないのか……」
転校生が何やらぼそっと呟いたようだが小さすぎて聞こえなかった。
「とにかく!!明日の放課後、屋上で待ってるからな!!そこで決闘だ!」
今度は爆音で言って転校生は去っていった。声の音量調節できないのか。
「で、どうするんだ?行くのか?」
「不本意ですけど、一応行きます」
ものすごく行きたくないけど。明日は親衛隊隊長達の会合に参加する予定があったのに。まあ、佐藤あたりに任せれば済む話なんだけど。ごめん、佐藤。
「あいつ、30分くらいここでずっと『木島稔が来るまで帰らない!』って叫んでたぞ。一体何やったんだ?」
「俺が知りたいくらいです」
「まあ、何かあったら連絡しろ。一応風紀室で待機しておく」
委員長がそんなこと言い出すくらいには転校生の圧力が凄かったんだろう。
メモのこともあるし、何もないといいんだけど。
最初のコメントを投稿しよう!