16.決闘当日

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「だから俺は!お前を倒す!」 確かに小学生低学年の頃、夏休みは田舎のじいちゃんの道場で入り浸ってた。だから、転校生の言うことは本当なんだろう。 でも……ただの逆恨み?7歳の頃にちょっと転ばされたくらいでそんなに恨むのか?ちょっと引く。 「…ねちっこい」 「ぼそっと言ってるけど聞こえてるからな?!だって……まりえちゃんがお前のことキラキラした目で見てたんだ!!」 まりえちゃんって、誰だその女。あぁ転校生の初恋の子か。その子の記憶すらないわ。 「お前、女が好きなの?イケメンが好きなんじゃないのか?」 帝とか委員長とかその他諸々に引っ付いてたのに。 「やっと本性表したな!かっこいいやつは好きだ!でも、可愛い子も好きだ!」 転校生はただの面食いだった。まあこの学園面食いしかいないけど。 「ぐだぐだ言わずに決闘するぞ!そっちからかかってこい!!」 「……」 普通に嫌だし帰りたいけどまあ適当に相手して負けたら満足するだろう。 「ほら、はやくかかってこ──、っ!!」 喋ってる転校生の背後に周り、首に手刀を落とそうとしたが避けられた。 「流石に避けるか…」 「それ、星祭りのときにやったやつだろ!!あれめっちゃ痛かったんだぞ!」 そりゃ帝にベタベタ引っ付いたからだろうが。むしろ気絶させる程度に留めたことを褒めてほしい。 「っと」 転校生が急に殴りかかってきたので避ける。 「喋ってないでちゃんと戦え!!」 いや、そっちが喋ってんだけど。俺は何も言ってないし。  そっからはただただお互いの殴り合いになった。向こうも何も話さなくなって、本気で殴りにかかりに来ていた。やっぱ強いなこいつ。俺への執念でそんだけ強くなったんなら逆に俺のこと好きなんじゃないのか。 でも、若干転校生の息が切れてきた。一つ一つの動きにパワーがあるけど、余計な力入りすぎてるから長期戦には向かない。 そして俺が転校生の足をすくい、床に押さえつける。 「くそっ……!!」 「いちにーさんしーごー、はい、お前の負け」 「……」 手を離し、仰向けになった転校生を見ると、泣くの堪えているからかめっちゃブサイクな顔してた。元の顔面がいいからブスでもないけど。 「お前今めっちゃブサイク」 「……だって、だって……うわあああんっ」 やばい、思いっきり泣かせた。誰かに見られたら誤解しかないんだけど。いや、ブスって言った俺が悪いのか? 「うっ……ごめんなさいいいい」 急に謝罪して、こっちに突進してきた。そしてメソメソと泣きながら抱きついてくる。鼻水つくから嫌なんだけど。 まあ、きっと根は良いやつなんだろう。ただ執着心強い面食いってだけで。 「泣くな。ほら、ハンカチやるから」 抱きつく転校生にハンカチを渡そうとするけど、一向に受け取らないので顔を拭いてやる。 「ぐすっ…ありがとう」 やれやれ、やっと一段落ついた。そう思った。
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