1.忙しい新学期

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静まったカフェテリアに会長の声が響く。 「転校生はどいつだ」 その一声でまた周囲がざわめきはじめる。 「転校生?」 「ほらあいつだろ、あの黒いの」 「あのマリモ?」 「王道展開キタァ」 ざわざわと揺れる周囲の視線の先には転校生。 「何だ、俺に何か用か!!」 転校生が椅子からがたっと立ち上がり、生徒会の方へ向かう。 「ありす!」 「あ、お前今朝会ったやつだな!えっと、泉だ!」 副会長がキラキラと光る笑顔を振りまきながら、転校生に歩み寄る。それに伴い、周囲が殺気立つのを感じた。 「泉、何しに来たんだよ!」 「ありすのことを生徒会に紹介したいと思いまして…」 「「うわ~この子が転校生?マリモみたいだね!」」 突然転校生の前に双子が出てくる。 「何だよ、人の事マリモって失礼だぞ!」 「「はいは~い、というわけで、どっちがどっちでしょうゲーム〜」」 「は、何だよいきなり!!」 出た、双子が新顔に仕掛けるイタズラゲーム。そっくりだからわかるわけな… 「僕が律だよ!」 「僕が陸だよ!」 「「くるくるくる〜さぁ、どっちがどっちでしょう!」」 「右が陸で左が律だろ?」 「「スゴイ!当たり!!」」 お前よくわかるな。やっぱり地球外生命体なのか?視力が発達した星から来たのか? 「「僕達君のこと気に入ったよ~」」 「わぁ〜双子と副会長落とすなんて、ありすちゃんすごいねぇ☆」 会計、お前には見えていないのか、一般生徒の殺気立った目を。俺は平穏に焼き魚定食が食いたい。 「お前イケメンだけどなんかチャラいな!」 「え〜ひど〜☆」 「本音隠して笑うなよ!俺、お前が本気で笑ってるところ見てみたいぞ!」 「!…いいね〜、ありすちゃん」 会計のわかりやすい愛想笑いは全員知ってるのにな。 「ん…お…しょ、き」 「お前書紀なのか!よろしくな!!」 「!…わか、る?」 「お前の言葉俺はわかるぞ」 ……ああ、あれだな、安っぽい乙女ゲームみたいなシチュエーション。攻略簡単すぎて誰も買わなくなるやつ。周りの声は留まることなく、どんどん加速していく。それと同時に俺の目は死んでいってるけどな。 「何なのよ、あいつ!」 「生徒会の皆様に馴れ馴れしくしないでよ!!」 「神よ、俺の天国はここだった…」 腐男子がいきなり鼻血を出した。おい誰かあいつ保健室連れてけ。 「…お前が転校生なのか」  会長が話すと周囲は静まる。なんだろうな、会長はオーラが他とは違うんだ。 「お前カッコいいな!名前何ていうんだよ!」 転校生が急にキラキラし始めたんだが。 「…お前に教える名前なんて無い」  会長本能的に悟ったんだろうな、こいつはヤバいやつだって。名前教えたら一生つきまとってきそうだ。 「そんなこと言うなよ!俺、姫宮ありすって言うんだ!ありすって読んでいいんだぞ!」 「知らん。俺はもう戻る」 「お前カッコいいから、行っちゃダメだ!」 転校生が会長に抱きつこうとするのを見て、身体が動いた。 「木島?」 栗見の戸惑った声をよそに、会長と転校生の間に入り込む。 「失礼します」
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