17.目が覚めたとき

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「……それで、いつからいた?」 「ええーっとーそのー……」 なかなか返事をしない生徒会一同。若干顔赤いのがもう既に物語っているんだけど。 「お前らがちょうどキスしている時だ」 委員長がなんのためらいもなく言う。 「はあ……最悪だ……」 対して帝の絶望の顔。生徒会は普段からの仕事仲間だし、自分の敵とも言える風紀委員長にも見られたんだからショックは大きいだろうな。 「まさか風紀副委員長と付き合っているとは……」 副会長が驚きを隠せない様子で言う。 「お前にだけは言われたくない」 「なっ…!」 俺もそう思う。風紀委員長と付き合っているのはどこのどなたなんだ。 「じゃあ時々電話していた相手は皇だったのか。毎回新婚夫婦みたいな会話していたな」 「黙れ、神谷。稔との電話を盗み聞きするな」 「「あ、今稔って言ったー!」」 「ラブラブだね〜」 「仲、良し」 生徒会全員から総攻撃を食らって帝は撃沈する。俺はその様子をベッドから高みの見物して楽しむ。 「だから嫌だったんだ…お前らに言うのは…」 「あれ、でも高一の頃から付き合ってたんじゃなかったっけ?その時副委員長って学園にいた?」 書紀から急に話題が振られたので、少し考えて応える。 「いえ、当時は中3だったのでまだ地元の学校にいました」 「どこで会ったの?…え、というか付き合ったの中学生?」 「そうですね」 そういった瞬間生徒会と風紀委員長は帝に視線を向ける。 「会長…流石に中学生に手を出すのは……」 「皇、俺は泉のことだいぶ待ったと言うのに、お前は…」 「おい待て。勝手に犯罪者にするな!」 「「本当に〜??」」 「会長、やるね〜」 必死に弁明する帝。あわあわしていて可愛かったけどこのまま放って置くのは流石に可哀想か。 「卒業式まで待ってくれましたよ」 「えっ」 「「きゃー!」」 「それは、セーフ…なのか?」 帝が赤面している。なんだかんだ帝は常識人だったし、ヘタレだったから俺が中学生の時は手を出してもいいといったのに、一切出さなかった。卒業式の日も俺が押し倒したと言ってもいいくらい。 「ちなみにどっちが抱かれ──」 「お前らいい加減散れ!!」 ちょっとアウトローな質問が出てきたので帝が無理やり追い出した。ワチャワチャと騒がしい声が一気に無くなる。 「もっと話しても良かったのに」 「勘弁してくれ…お前もあいつらのくだらない質問には答えるなよ」 「はーい」 「…まあいい。もう今日は休んでくれ。怪我も癒えてないのに、うるさくして悪かった」 「いいよ、帝で癒やされたし」 そして帝は去っていった。もう少し居て欲しかったけど、可愛い帝みれたから十分か。 その顔を振り返っているうちに、先生が帰ってくるまでまた寝てしまった。
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