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18.風紀副委員長の矜持
次の日、俺は委員長が奥平に事情聴取するため別室で音声を聞くことになった。ちなみに帝も生徒会長だから聞く権利があると言い張り、今俺の隣にいる。
なんかデジャヴだと思ったら、一ノ瀬が転校生を制裁する時に似たようなことやったんだ。少し懐かしい気分になる。
「本当に休んでなくていいのか?」
「平気だって。俺がそんなの気にするほど繊細じゃないの知ってるだろ」
帝はさっきからずーーっと同じセリフを繰り返してる。
確かにまあ無理矢理色々された話とか出てくるかもしれないけど、
「帝がそばに居てくれるんだろ?」
可愛くてかっこいい最強の彼氏が隣にいるから心配無用だ。ノロケではない。事実を言っただけだから。
「あの〜おふたりさん、おれのこと忘れてなあい?」
「知らん。何でお前がいるんだ」
甘い雰囲気の中、割り込んできたのは会計。
「だって〜後で記録まとめる人がいるでしょ?」
「浩はどうしたんだ。書紀の役目のはずだが?」
「ひろろんは別件があるんだってさ〜。もーこんな甘々な空気の中にいたら、俺お邪魔虫みたいじゃん」
うげぇ、と心底嫌そうな顔をされる。完全に帝との話に夢中で忘れていた。まあ、バレてるしいっか。
「せっかく木島くんと二人っきりでお話できると思ったのに〜」
「おい、何話すつもりだ」
「そりゃ、会長との夜のあれこれを…」
「〇すぞ」
「ちょ、目が本気で怖い…」
かつて見たこと無いほど殺気があふれる帝。やっぱり生徒会と絡んでる時の帝は見ていてちょっと面白い。
「別に俺は話してもいいですよ」
「え、マジで?」
「稔?」
帝が黒い笑顔こっちを見た。割と本気で怒られそう。
……なんだ、代わりに生徒会での帝の話聞こうと思ったのに。さぞ可愛い話が出てくるんだろうなあ。
「あ、いつの間にか始まってる」
「おい…」
帝が会計を睨む。
「ごめ〜ん」
『─ということだが間違いは無いか?』
稀に聞く委員長の真剣な声。保健室でも思ったけどやっぱり責任感じてるいるのか。委員長のせいじゃないんだけどな。
『ええ、ありませんよ』
肩をすくめる奥平。若干腹立つ。
『動機は何だ?やはり風紀副委員長に就けなかったことか?』
『ええ、そうですよ。ただの僕の逆恨みです』
だからさっさと終わらせろ、というように奥平は素っ気なく答えた。
「あいつ…稔に手出しといて何様だ…」
横からめちゃくちゃ冷たいオーラ流れてるんだけど。俺の彼氏怒らせると怖いぞ。
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