4人が本棚に入れています
本棚に追加
「咲耶です!チャンネル登録よろしくね😆」
自撮りスマホに微笑みかける女子高生。彼女は咲耶。アイドルを目指す忍者である。
「ダメだ…再生数が全然伸びない…テコ入れ企画が必要だわ…そうだ!」
何かを思い立った咲夜は、もの凄いスピードで走り出した。さすが忍者である。
咲耶が着いたのは、シノビマートというコンビニ。その店員控室には咲耶の他に2人の女子高生がいた。
「何だよ急に呼び出して…今スマホゲームやってんだよ。クリアして呟くとトークンが貰えるんだって…」
何やらスマホをピコピコと両手で扱う1人の女子高生。咲耶がそのスマホを覗き込む。
「ちょっと、チュートリアルもクリアできてないじゃない!不器用なんだからヤメ!」
咲耶にスマホを取り上げられ、膨れっ面をする彼女はネム。絵を描くのが好きな忍者である。
「もぐもぐ…何か呼び出した理由があるんですか?」
「かぁ⤴︎?」
可愛らしい丸い食べ物を口に入れながら喋る彼女はシャオラン。怖がりだが、意外にしっかり者の忍者である。
そして相槌を打って首を傾げるのはリーリー。あざと可愛いパンダである。
「聞いて!再生数を上げるスペシャルな企画を考えたわ!」
「スペシャル?」
首を傾げる2人と1匹に対し、咲夜は不適な笑みを浮かべた。
「パジャマパーティーよ!」
「パジャマパーティー!?」
●パジャマを入手せよ
「パジャマパーティーって何だよ?」
「女子高生が可愛いパジャマを着て、キャピキャピキラキラ映えるパーティーよ!」
「キャピキャピ?」
ノリノリの咲耶に対し、イマイチ疑問が払拭されない顔のネムとシャオランである。
「でも私、ジャージで寝てるよ?」
頭の後ろに手を組み、真っ直ぐな眼差しで主張するネム。
「私も可愛いパジャマとか持ってないですぅ」
リーリーを胸に抱きながら、涙目で困るシャオラン。
「そうね。そういえば私も映えるパジャマ持ってないわ…」
「困っておるのか、咲耶」
「おじいちゃん!」
突然現れたご老人は咲耶のお爺さん、岩爺である。
「咲耶を救うために、ついにこれを使う時が来たな…」
岩爺は着物の懐から巻物を取り出した。
「それはまさか…クリプト絵巻!!」
岩爺は真剣な表情で意味あり気に巻物を解く。強烈な光を放ち、そこから出てきたのは…
数枚のお札。
「クリプトへそくりじゃ」
後日配送される段ボール。
「おじいちゃん、ありがとう」
キャピキャピキラキラ騒ぐ3人を暖かい目で見る岩爺。
「岩爺様、甘やかし過ぎでは?」
岩爺を嗜める咲耶たちの忍術の師匠、コンガ。ゴリラである。
「咲耶が自分で考え、挑戦しようとしてるのじゃ。応援するのが大人であろう」
「そうですかねぇ」
「そういえばコンガ、その段ボールは何じゃ?」
「え、いや。そろそろ裸で寝るのが寒いので」
コンガは咲耶たちのパジャマと一緒に届いた段ボールを背後に隠しながら顔を背けたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!