永遠の憂鬱

9/9
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 振り向くと、店主はひどく不安げな顔で俺を凝視している。髭におおわれていて気づかなかったが、なぜか今ハッキリと、彼の中学時代の顔が脳裏に蘇った。 「お前……っ」  巨体は昔からだ。こいつは中学のクラスメイト。だとしたらやっぱり、古川は── 『さよなら』  思考はその一言で中断された。  俺は白くまぶしい光に包まれ、その後に眼裏に映ったのは、永遠の、深く暗い青だった。 【了】
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!