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揃いきれていない白いスニーカーからは灰色の靴下が飛び出している。
下を向く少女の睫毛は長かった。
「あの、なにか」
「あ、これは、その、アジサイが綺麗で触っていたんだ。そしたら音が、声が聞こえて、わからないけれど、足が動いていた」
散歩をしていたんだ、と男は続けた。
少女は男から目を逸らした。憂いを帯びた顔。涙の痕。
「ここで会ったのもなにかの縁だと思う。君がよければ、仲良くしてほしい⋯⋯です」
男はタダシと名乗った。
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