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スクールカーストは継続中
「うん。確かに『衛藤くん』だね」
「マジかよぉ……?」
真っ二つに避けたバスの右半分。座席も天井も残っていて、そこにパーティーの面々がいた。
僕を見ると、彼らは一斉に臨戦態勢に入ったが、トーコが説明すると勇者と剣士は馬鹿デカい剣を下ろした。そして、黒いローブ姿の村西が、僕のステータス板から名前を確認して、皆が納得するに至った。
「だけどよぅ……スライムなんて戦力にならねぇだろ。この先、邪魔じゃねぇ?」
「これから食料も自給自足だろ、なにも出来ないスライムを養うなんて出来ないぞ」
「第一、スライムってなに喰うんだよ」
剣士と勇者は顔を見合わせて苦笑いする。
あー、元からコイツらとは住む世界が違ったからなぁ。
バスケ部のエースの宮瀨、剣道部の副将でイケメンの渡部、学年で三本の指に入る才女の藤原さん、高校生クイズ大会で県代表になった村西……トーコだって、生徒会で書記をしている。ジョブ持ちの人間に転生しているのは、いずれもスクールカーストの勝ち組ばかりだ。
「もういいわよっ! 尚は、あたしのペットにする! 食料はあたしのを分けるから、それなら文句ないでしょっ!」
「「「「はあぁ?!」」」」
『ええっ?!』
頰を赤く染めて、トーコはとんでもない宣言をした。
「尚っ、あんたもいいわねっ!」
『うっ……』
ブンブンブンブン――ぷるん
トーコがなんのつもりなのか分からないけれど、この場は承諾するしかなかった。
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