茶屋にて1

1/1

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

茶屋にて1

江戸時代が始まってしばらくの刻が経ち。 ある街道の、ある茶屋にて。 「お客様食い逃げしようとしてましたね」 怒る店の主人と。 「……いやそんな食い逃げなんて」 身なりがぼろぼろのお侍さんが正座していました。 「嘘をつかないでほしいなあ…」 刻を遡ること少し前。 ぼろぼろのお侍さんがこの茶屋にやってくると。 たくさんのお団子を注文しました。 見た目からして訝しむ主人でしたが、 相手が誰であれお客様にはお変わりありません。 注文通りたくさん(10串以上)のお団子を持ってきました。 お団子が来るやいなや、お侍さんは食べ始めました。 ペロリと、あっという間に。 全て平らげてしまいました。 この光景に主人びっくり。 お侍さんはお団子についてたお茶🍵 を呑みに一息つくと。 「…さらば!」 といきなり外へと飛び出したのでございます。 それからなんとかお侍さんを捕まえ連行し、 食い逃げというあらぬ疑いをかけられているのでございます。 「いや私は(かわや)(意味お花を摘みにいくこと)へ行こうとしただけで…」 「それ中にあるけど?」 「むむ…」 重たい沈黙が流れます。 「あ、そうだ。用事、用事を思い出して!」 「具体的には?」 「むむ…」 再び重たい沈黙が流れます。 どうやらこのお侍さん嘘をつくのが下手くそのようです。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加