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茶屋にて1
江戸時代が始まってしばらくの刻が経ち。
ある街道の、ある茶屋にて。
「お客様食い逃げしようとしてましたね」
怒る店の主人と。
「……いやそんな食い逃げなんて」
身なりがぼろぼろのお侍さんが正座していました。
「嘘をつかないでほしいなあ…」
刻を遡ること少し前。
ぼろぼろのお侍さんがこの茶屋にやってくると。
たくさんのお団子を注文しました。
見た目からして訝しむ主人でしたが、
相手が誰であれお客様にはお変わりありません。
注文通りたくさん(10串以上)のお団子を持ってきました。
お団子が来るやいなや、お侍さんは食べ始めました。
ペロリと、あっという間に。
全て平らげてしまいました。
この光景に主人びっくり。
お侍さんはお団子についてたお茶🍵
を呑みに一息つくと。
「…さらば!」
といきなり外へと飛び出したのでございます。
それからなんとかお侍さんを捕まえ連行し、
食い逃げというあらぬ疑いをかけられているのでございます。
「いや私は厠(意味お花を摘みにいくこと)へ行こうとしただけで…」
「それ中にあるけど?」
「むむ…」
重たい沈黙が流れます。
「あ、そうだ。用事、用事を思い出して!」
「具体的には?」
「むむ…」
再び重たい沈黙が流れます。
どうやらこのお侍さん嘘をつくのが下手くそのようです。
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