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恋に憧れる女子高生
キーン、コーン、カーン、コーン
昼休みを知らせる鐘の音……。
「ねぇ~、ひとみちゃん、『恋』って
したことある?」
高校二年生、『恋に憧れる』上野夏は
親友の村尾ひとみに話かけた。
「またそれ? はいはい。恋ですね?
ありますよ。それくらい……」
親友の素っ気ない返事に、口を尖らせると、
「もう~、ひとみちゃんったら、ひどいな~。
私は真剣に聞いてるのに……」
「だって~、夏、毎日毎日同じことばっか。
いい加減、こっちも返事に困るんだよ」
「そう……か、迷惑なのか……ごめん」
下を向いて項垂れた彼女を見たひとみは
「わ~、冗談、冗談だってば。夏そんなに
落ち込まないで……」
と慌てて夏の肩を揺さぶる……。
「あっら~、ひとみちゃん、夏がまた
いじけちゃってるよ」
夏の幼馴染の梶本恭介がキラキラした
笑顔で声をかけた。
「ほら、夏~、学校一のモテ男、
幼馴染の恭介君が心配してるよ」
ひとみの声かけに顔を上げた夏は、
「もう、いい! 飲み物買って来る」
と言うと教室から出て行った。
「あらら~、完全にすねてるよ」
恭介の言葉に、
「だって、夏ったら、『恋』『恋』って
うるさいんだもん」
「そうだな。最近、よく言ってるよね。
そんなに恋をしたいのかな?」
「多分ね。でも、夏、恭介君という、
超イケメンの学校一のモテ男が一番近くに
いるのに……恋愛対象じゃないのかな?」
「う~ん、どうだろう? 近くにいすぎるから
そんな感情湧かないんじゃないの?」
「ふ~ん。そんなもんかね?」
ひとみは不思議そうに首を横に傾げた。
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