寝不足と恋バナ

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寝不足と恋バナ

 次の日の朝、  恭介から突然の告白に夏は、 一睡もできず朝を迎えた……。    うつろな目で、半分寝ぼけ顔の 夏は自宅の玄関を開け、学校へ向かう……。  「あれ? 寝不足かい?」  隣の玄関から葉山が出て来た。  「あっ、葉山先生、おはようございます~」  うつろな目をした夏を見た葉山……  「お? 夏~、どうした?   その死んだ魚のような目は……」  葉山の言葉にハッとした夏が、 慌てて葉山に話かける。  「ちょっと、先生! だめじゃないですか。 名前の呼び捨ては……。誰かに聞かれたら、 変に誤解されて疑われますって……」  周りをキョロキョロと見渡す夏、 周囲に誰もいないことを確認すると 安心した顔を見せた。  「どう? 目が覚めただろ?」  「ちょっと、先生、わざとなんてひどいな~」    「俺だってわかってるよ。教え子の隣に一人で 住んで、その教え子とは昔からの知り合いだって、 格好の話のネタになるし、餌食になるだけさ…… だから、二人っきりのときだけだろ? 夏のことを 『夏』と呼ぶのは……」  「そうですとも。そうですとも!  もちろんそうですとも……」    「完全に目が覚めたみたいだな…… 夜更かしもほどほどにしなさい。わかりましたか? 上野さん……」  葉山が教師モードになった。  二人の前方から、ひとみが走って来た。  「夏、おはよう……あっ! 葉山先生も おはようございます」  ひとみが葉山に会釈をした。  「はい、村尾さん、おはようございます」  優しく微笑む葉山……  ひとみにそう返答すると、葉山は一人 先を歩き出した。  「あれ? 恭介は?」  夏がひとみに聞いた。  「あ……恭介君は、今日用事があるから 先に行くって……用事ってなんだろうね……」  「そ・そうだね~。なんだろうね? 用事って」  オドオドした口調になる夏……。  「それよりさ、昨日どうだったの?  川内部長との美術館……」  「あ~、うん。昨日は色んなことが あり過ぎて……まさか、夜中までとは……」  夏が呟いた。  「ん? 何? さては、なんかあったな~」  ひとみがニヤリと笑った。  「ありすぎ……だよ。お陰でこっちは寝不足」    夏とひとみはいつもの通学路を歩いていく。  最悪な人との再会……  部長との美術館……  そして、幼馴染の恭介からの 深夜の突然の告白……    夏の周りが急に慌ただしくなってきた。 彼女がそのことに気づくのは、まだまだ、 先のこと……  恋に憧れる、女子高生……  今日も親友との恋バナに  ワクワクドキドキ……。  
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