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背中に飛び込んできた男子生徒は、詩乃也と同じクラスで1年からの友人だった。普段の行いのせいで周りには恐れられている詩乃也だが、この友人はその中でも自ら関わりを持ってきた珍しいタイプ。
「うるせーな!ぽん吉!!いきなり飛びかかるなよ、猿か!」
「ひど!ていうか、俺の名前はぽん吉じゃなくて和吉だよ!」
騒がしい2人より先に靴を履き替えた波璃は、詩乃也に近付いて「僕行きますね。では、また」と去って行った。
その瞬間の力がない微笑みが少し引っかかった詩乃也。ポカンとしていると、それを見ていた和吉が「おいおい!」と声を上げる。
「何今の!!お前、あの子と知り合いなの!?」
「は?何をそんなに…てかあいつのこと知ってんの?」
「知ってるって!2年生の内石くんでしょ?あの内石グループって大きい会社の一人息子!家めっちゃ金持ちだし有名じゃん。隠れファンもいるみたいだよ」
「え、マジ?昨日まで知らなかったわ」
一一一あいつそんな有名だったのか。まあ、あんなデケェ家住んでたらそりゃ話題にもなるか。それにしても…
「てか、そんな有名で人気なのに友達いなさそーだけど?」
「いやいや有名だからこそでしょ?しかも成績優秀であの外見だし、近寄り難いっていうかみんな一目置いてる的な?」
「へぇ…」
「てか昨日知ったって昨日なんかあったの?なんで仲良くなったの!?あの内石くんと」
「はぁ?別に仲良くねーし。たまたまちょっと話しただけだよ」
「どう見てもタイプ違うのに、どこでたまたま話すんだよ!」
一一一タイプねぇ…。まあ、確かに違うわな。喧嘩三昧の不良と金持ちの優等生で。すぐカッカして感情出す俺とは逆に、あいつは何考えてるかわかんねーし、かと思えば急に笑ったりするし…。
一一一ていうか、俺一応今あいつと付き合ってんだ。形だけだけど。すげー変な感じ…出会ったその日にヤッたことはあっても、出会ったその日に付き合うとかはねーな。
「どこって…んー…ゴミ箱?」
「はぁ??」
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