1. 出会いはゴミ箱

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「ふざけてんのか?こっから出たらお前をまず殴るっつってんだろ」 「でも今、このままだと警察に補導されるか、他のヤンキーに見つかって恥をかくかじゃないですか?」 一一一話通じてるようで、通じてねぇだろ。これ。 「僕は別にいいですよ」 「なにがだよ」 「あなたに殴られても蹴られても」 「…は、」 波璃と名乗った男子生徒は、淡々と無の表情を浮かべている。冗談とは思っていなさそうで、本気で殴られてもいいと言っているようだ。 一一一こいつ、こんな小綺麗な身なりと顔してて俺に殴られてもいいだと?意味わかんねぇ。何考えてんだよ。 《そこの高校生達!止まりなさい!》 いよいよすぐ近くから聞こえてきた、サイレンと機械越しの警察の声。もうすぐそこにヤンキー達と警察共に迫っている事が分かる。さすがの詩乃也も焦りを隠せなくなってきていた。 一一一やべえ、もう近いぞ。見つかるのどっちが先でもやべえ!! 「ほら、早くしないと面倒なことになりますよ」 「…っクソ、うぜぇ!!いいから早くしろ!」 「分かりました。あと助ける代わりに僕のお願い聞いてくれますか?」 「ああ!?なんでそんなこと…!」 「じゃあ、置いていきますよ」 「あーーーもう!分かったから早くしろや!」 この時、焦りと苛立ちから詩乃也は頭が回っていなかった。代わりのお願いなんて、ろくなものじゃないはずなのに。 そう後で気付いた時にはもう遅かった。 「じゃあ、もう1回引っ張りますよ。せーの」 「いってててて!!」 「よし…、抜けましたね。じゃあ走りましょう」 「は!?おまっ…おい!!」 「早くこっち!」 波璃の手を借りて、ようやくゴミ箱から抜け出した詩乃也。一息つく間もなく、手を掴まれ引っ張られるまま走り出した。
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