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 はっと目を開けると、目の前に時計屋の老人が立っていた。起きたかね、と優しく微笑む。 「すみません、寝てしまって……」 「疲れているんじゃろ。ほれ」  老人は俺の手の上に、そっと懐中時計を乗せた。ぴかぴかに磨かれた、銀色の懐中時計。秒針の微かな振動が手のひらに伝わってくる。 「ありがとうございます」 「開けてみなさい」  老人に促されて、俺はそっと蓋に指をかけた。軋むことなく蓋が開いた、その時。    視界がさあっと真っ白になった。眩しくて思わず目を瞑る。チッチッチッチッ、と懐中時計の秒針の音だけが響く。  なんだ、これは――そう思った次の瞬間、ぱっと目の前が開けた。スクリーンのように、俺の前に映像が現れる。
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