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その時計屋に行けば、過去に戻ることができるんだって。
母がそう話していたのはいつだったか。電車に揺られながら、俺はぼんやりとした記憶を辿った。
幼い頃、俺がなかなか眠れない時に、母はよくそんな不思議な話をしていた。だからきっと10年、いや20年以上前のことだろう。
車窓から見える1月の町はどこか冷たく、よそよそしい。俺を歓迎していないように感じるのは、俺がこの町を捨てたからだろうか。そんなことを考えて、首を横に振った。過去を振り返ったって何にもならない。どうせ戻ることなどできないのだから。
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