第1章

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第1章

 みんなが生きる普通とは何なのだろうかといつも思う。  学校で友達とふざけあって笑いあって過ごすことが普通?  勉強をしていい高校に行くのが普通?  自分のしたいことなりたい未来を目指すのが普通?  きっと私の普通はみんなとは別なんだと分かっている。  私の普通は「親から怒られないこと」「親の期待に応えること」  それ以外なんて存在しない。  今から返却される昨日の小テスト。  結果なんて見ずともわかる。  1問だけ。  そう1問だけ。  周りからすればたったの1問なんだ。  けれど、私からすれば命を懸けた1問なんだ。 「小野田紗菜(おのださな)ー」  名前を呼ばれ小テストを受け取りに行く。  点数は98点。  思った通り。  1問だけチェックマークがあった。  この問題だけ明らかに難易度が違った。  いつも100点を取る私対策の問題だ。
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