鍵のかかった部屋

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しかも生きている望みは極めて薄い。 残された者が平常心でいられるわけがない。 そんな中、おばあちゃんがいなくなって二週間が過ぎた頃のことだ。 その日僕は、おじいちゃんの部屋の前を通ろうとした。 そして気づいた。 部屋に入り口の引き戸が少し開いていることに。 僕は思わずその隙間から部屋を覗き込んだ。 そこにおじいちゃんはいた。 その時おじいちゃんは、胴体のない首だけになったおばあちゃんを両手で持ち、そのおばあちゃんに口づけをしていたのだ。        終
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