鍵のかかった部屋

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それこそ家族以外の人は、完全におばあちゃんがいなくなる前の生活に戻った。 警察もあきらめのムードだ。 十日を過ぎたころには、もう誰もおばあちゃんを探さなくなっていた。 そんな中、おじいちゃんだけが相も変わらず部屋に引きこもっていた。 しっかりと入り口に鍵をかけて。 それでもおじいちゃんになにか言う人はいなかった。 好きなようにさせてあげなさい、と言うのがお父さんの意見で、お母さんも同様のようだ。 そしてそれは僕も同じだった。 結婚して五十年以上たつと言うのに、いまだに恋人のように仲のいい夫婦。 その片割れがいなくなったのだ。
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