第9話 逃亡を阻止せよ

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第9話 逃亡を阻止せよ

「あれ」  まいが指差す方を見る。 「あれ、セロハンのだよね」 「うん」 「エリー逃げたぁ〜」  しまった。  この騒動の隙に逃げやがった。 「さくらたん。仲間だよね?」 「…たん?仲間って?」 「あ〜、もういいどいて!」 「きゃっ」  あたしはさくらたんを引っ張り上げ、コックピットに乗り込んだ。  エリー逃すか!!  エンジン、エンジン。  これだ!  エンジンを起動してアクセル全開で飛び出した。  小型ポットは脱出用で大抵は壊れない。もしものために近距離用のバルカン砲も付いている。  エリーの宇宙艇目掛け全速力。  護衛艦からの攻撃が来る。  数が多すぎるわ。どうしよう。  護衛艦のバルカン砲を掻い潜りながら、本艦に近づくが、護衛艦の数が多く射程距離にならない。  ここで逃したら、追いかけるのは難しい。 『ちょっとぉ、あたしの乗り物返して!』 『お前通信できるのか?』 『そう見たい。ねぇ、あの宇宙船を捕まえたいの?』 『ああ、そうだが』 『なら簡単だよぉ』 『どうして。えっ、あっ、あれを使えばいいの?うん、うん。わかったぁ〜。みこたん。今から行くねえ 〜』  みこたんって。  それに通信中は、人と話さない!  う〜、全然近づけない。  かなり上空に来ている。  小型ポットでは大気圏を突破できない。ロケットエンジンがないからもうそろそろ限界だ。  すると…  先程落とした小型艇が急接近してきた。 『みこたん。きたよぉ〜』 『あ?さくらたん?』 『ちょっと待ってて』  その小型艇は本艦の真上にピタッとつき、コックピットを開けた。  みっちゃん?  蜜姫とさくらが出てきて、蜜姫は大型注射器で液体をばら撒き、さくらが羽を羽ばたく。  次々とと護衛艦が落ちていき、本館までも下降していく。  どうして?  考えている暇はない。あたしは本艦に近づき、バルカン砲を撃ち続けた。  前方から何かが来た。  こんな時に新手か?
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