15歳の私の想い

1/3
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

15歳の私の想い

 日曜日、ひとり地元のスーパーで冬季限定のアイスを買った帰り道。 「恭ちゃーん」と中学生くらいの女の子が声をかけてきた。  ん?誰だ?  呆けた表情が一瞬のうちにして顔面蒼白になる私。  中学の制服をお下がりした先の『あっちゃん』ではないか。 「会えて良かった。あの、制服ありがとうございました!」 「あ、う、うん。どうせ使っていなかったし……」  あっちゃんの続きの言葉を想像して、ヒヤッと冷たいものが胸を走った。 「それで…あの…お渡ししたいものがあるんですけど」と小声で話す。  うん、うん。  やっぱりポケットに入っていたよね。  あっちゃんの家の前で待っていた私は、何度も深いため息をついた。 「これ。大事なものだと思って…」  そう言ってあっちゃんは可愛い紙袋を私に渡す。  やはり紙袋の中身は、私の名前が入ったラブレター。 「安心してください。手紙、読んでいません」と真面目な表情のあっちゃん。 「うん、ありがとう。びっくりさせたでしょう」と私が言うと、あっちゃんは「少し」と言って笑った。  私は家に帰り、少し溶けたアイスを食べながらラブレターを開封する。  アイス、カップタイプで良かった……。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!