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「俺が東工業高校落ちたのは恭子のせいだって勝手に恨んでいた。勉強教えて貰うのを断られたから……恭子だって受験生だったのにな」
はぁ?
「合格発表の日、すれ違っただろ。その時も密かに馬鹿にされていた気がして…俺、めっちゃ恭子を睨んでいたんだ」
「ばっ…馬鹿にしてなんか…!」
「うん、俺の被害妄想。だけど、そうとでも思わないと落ちたショックから抜け出せなくて」
じゃあ、もしあの日無理矢理告白なんてしようものなら、失恋で済まなかったかもしれないのか。
私があまりにも意外な告白にポカーンとしていると、
「恭子、彼氏出来た?」と更に想定外の質問をしてきた。
「え、あ、いや、まだ…」と馬鹿正直に答える私の前で「ごめん!」と両手を重ねる浩輔。
「恨むあまり恭子の高校生活、非リア充になれって呪いをかけてた」
―――の、呪い!?
あまりにも衝撃的な告白に、私は思わず吹き出してしまった。
「嘘でしょ~!きゃはははは!いや、呪いの効果凄い!」
急に笑い出す私に面喰らう浩輔。
「だってね、私ずっと浩輔の事が好きだったのよ!中学の時から卒業後もずっと!だから彼氏なんて作れなかったの!」
だけど今は違うと、ここに来る前から確信していた。
五年前のラブレターに綴った想い。
この時の気持ちはもうほとんど残っていないという事に、ラブレターを読んで気が付いた。
浩輔を好きでいる自分が当たり前になっていただけだった。
まぁ、もしかしたらそれは呪いの効果だったのかもしれないけど。
「今は?もう俺の事好きじゃない?」
「うん。今は他に大切にしたい人が出来た。まだ彼氏ではないけれど…」
「そうか、良かった。上手くいくと良いな」
「うん、浩輔も彼女を大切にね!」
浩輔は笑顔で手を振って、通用口から出て行った。
意外な告白になっちゃったけど…15歳の私の想いは無事に昇華出来たようだ。
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