身を切られるようにツライ想い

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 ダメだ。  浩輔を電車で目撃して以来、何もやる気が起きない……。  少し前まではストレッチなど自分磨きに時間を費やしていた私。  恋って凄いね。  人を向上させることも堕落させることも出来るのね。  今日もソファでスマホの動画を観ながらダラダラしていると、背後からママが言った。 「あ、そうそう。お向かいのあっちゃん、中学の制服小さくなったって言っていたからアンタのあげたわよー」 「へー…あっちゃん、昔は小さかったのに大っきくなったよねぇ…」 「確かクリーニング出していたわよね」 「あー……確か合格発表と説明会の時に着たかなぁ。出しちゃっていたから、慌てて受け取りに行ったんじゃなかったっけ」 「あ、そうだったわね。ちょっと着ただけだし、いっか」  ママはそう言って、いそいそとテラスへ洗濯物を干しに行った。  そうそう。  合格発表のあと、中学校へ結果を報告に行って。  その時に浩輔に告白しようと思ったら、浩輔は親と中学校に来ていて告白出来なかったんだよね。  とてもじゃない、告白出来る雰囲気じゃなかったし……。  ………あれ?  とんでもないことに気がつき、手からスマホが滑り落ちた。  ―――ラブレター!ポケットに入れっぱなしだ!
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