沙織の不安と隼人の後悔

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沙織の不安と隼人の後悔

実家に戻った2ヶ月後沙織は女児を出産した 両親は隼人似の可愛い孫を 親戚中に自慢する程喜んでくれたが 隼人は知らせを受け喜ぶ様子を 見せていたものの駆けつけはしなかった 沙織は出産後一度も顔を見せない隼人 に対し一抹の不安を覚える 三条由紀は公正証書が作成された時点で 離婚届を提出つもりでいた それを阻止したのは 他でもない隼人自身だった... 隼人は辞令を受けた後ダメージが徐々に 蓄積され落ち込み自暴自棄になっていた それでも何とか頑張ってこられたのは 何故か由紀の存在があったから... 由紀との話し合いが自分の言動を 見つめ直すきっかけになっていた 目に浮かぶのは優しい瞳の由紀で 沙織ではなかった 話し合いの場で由紀は 感情的に隼人を責めなかった いつも冷静に... そうだった...感情が穏やかで短所や弱みも そっと受け止めてくれる女性だったんだよ そんな由紀が一度だけ 沙織に苛立ち、コップの水をかけるという 感情を露わにした出来事があった 今思えば当たり前の行動なのに その時の俺は彼女の包容力を息苦しいと 沙織に癒やしを求めていた そして事もあろうに、由紀の目の前で 不倫相手を庇ってしまった...あぁ〜 その光景を思い出した隼人は 激しく動揺し自分の行動を後悔した
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