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「…俺、遼一に好きだって言われるの、すげえ優越感ある」
「なんで?」
「大学時代からそうだった。遼一に近づきたい奴が山ほどいたの知ってるけど、遼一が求めるのが俺なんだって思うとぞくぞくするような昂揚感があった」
「……」
「だから遼一を手放したくなかった。引き留めたかった」
俺の真実。
「お前、相当あぶないけど、俺も相当ずるいからお互い様じゃね?」
「日向…」
「いいよ、犯して。遼一の好きなようにして」
まだ覚悟はできてないけど、遼一がそれを望むなら受け入れたいってすごく思う。
このあぶない男に、もっともっと俺に夢中になってもらいたい。
「日向は俺が好き?」
「……」
「日向?」
「わかんない」
遼一の首に腕を回して顔を引き寄せる。
俺から軽く唇を重ねると、遼一が泣き出した。
「なんで泣くの?」
「…日向からのキス、初めてだから」
「そうだけど…それがそんなに嬉しいんだ?」
「嬉しい」
もう一回俺からキスをすると遼一はぼろぼろ涙を伝わせる。
「ほんとに抱いていい?」
「いいよ」
「俺の事、嫌いになんない?」
「ならないよ」
キスを繰り返すと身体が熱くなってくる。
遼一の瞳には俺しか映ってなくて、俺だけを求めている。
「日向、俺の事好き?」
「…わかんない。わかんないけど」
今思っている事を素直に伝えるのが一番いいだろう。
たぶんそれを遼一は喜ぶ。
「好きとか嫌いとか、もうそんな感情全部通り越して、遼一を全部受け止めたいんだと思う」
これが今、行きついた俺の気持ちを一番表せる言葉。
ただ遼一を受け止めたい。
こいつのあぶなさもなにもかも俺のものにしたい。
そこにはきっと“好き”が含まれているんだろうけど、そんな言葉じゃ表現しきれないくらい遼一が欲しい。
「遼一にならひどくされてもいいから」
「日向…」
「遼一が嫌じゃなければ抱いて欲しい、かな…」
と言ったと同時に頬を抓られた。
痛い。
「なにすんの」
「ほんとにずるい男だな、お前」
「ごめん」
「でも、そんな日向も俺は好き」
遼一のキスが熱くて、どきどきする。
男に抱かれるとか、受け入れられるかとかいっぱい考えてたけど、答えは簡単に出た。
受け入れられなかったら、受け入れる事ができるまで抱き続けてもらう。
俺の身体が遼一を覚えるまで。
遼一だけのものになるまで、抱かれたい。
俺はただ、遼一のものになりたい。
そして、遼一を俺だけのものにしたい。
「っん…」
言った事とは正反対な優しい愛撫に恥ずかしい声が漏れる。
その度に遼一は頬を紅潮させて目を潤ませる。
可愛いな、と思う。
ひどくしていいって言ったのに、指で丁寧に奥まった部分をほぐされる。
異物感がぞくぞくに変わるまでそう時間はかからなかった。
「遼一…まだ?」
「ん、もう大丈夫そうだけど…」
「はやく…」
はやく遼一を感じたい。
でも遼一がここにきて戸惑いの色を瞳に浮かべる。
ほぐされた場所に遼一の昂ったものが押し当てられる感覚だけでも痺れるような快感に包まれる。
「ほんとにいい? 日向」
「? なんで?」
「一度でも俺のものになったら、一生離さないけど」
俺の答えを待っている。
散々待たせたのに、まだ待ってくれるのか、この男は。
そう思ったら泣きたくなった。
「いいよ」
「日向…」
「一生、遼一のものになる」
「…わかった」
ゆっくり遼一が挿入ってくる。
すごい圧迫感で苦しいけど、それ以上に幸せで、やっぱり泣きたくなる。
「日向、好きだよ…もう逃がさない」
すごい真剣な目。
やっぱあぶないやつかも。
でもこの男を捕まえ続けたのは俺だし、この男に捕まりたいって思っちゃったのも俺で、遼一は俺を捕まえた。
絶対離させない、離れさせない。
一生かけて責任の取り合いしようって言ったら、遼一はまた泣き出した。
「やっと俺のものになった」
「うん」
「なにがあっても逃がさない」
「逃がさないで…離さないで」
俺も結構あぶないやつかもしれない。
こんな愛情、嬉しくてしょうがない。
END
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