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赤いリボン
社会人・同い年・執着攻め・美形×平凡
腐男子・一成(受け)はものすごく嬉しくて興奮する出来事が…そして眠りから覚めます。
夢だった…打ちひしがれる一成に、駿馬(攻め)が「縛ってあげる」と、一成の好きな赤いリボンを取り出して…。
*****
パラパラ漫画雑誌をめくっていたら手が止まる。
もうずっと昔にその雑誌で連載された、大好きとかもうそんなレベルじゃないくらい、俺の魂を注ぎ込むくらい愛したマイナー漫画のその後が描かれたスペシャルストーリー次号掲載の文字。
しかもチラ見せで載っているのが、俺の推しカプ(♂×♂)が二次創作じゃなくほんとにくっついて結婚したストーリー!
マジか!!!
「!!!」
目が覚める。
ベッドの中。
「…………え?」
…………。
「…どしたの、いっつん」
隣で寝ていた駿馬が瞼を上げて俺に聞く。
起きたばっかなのに整った顔してる。
イケメンは寝起きもかっこいい。
「いっつんはやめて……」
「一成、ご機嫌ななめ?」
夢。
夢…。
夢!!!
めちゃくちゃ悲しい。
「…………って夢を、夢を…見た」
打ちひしがれながら説明をすると、駿馬は笑った。
「もうね、笑って。いくらでも笑って」
力が入らない。
ほんとに泣きそう。
俺が落ち込める限り落ち込んでいると。
「しょうがないな…」
駿馬がベッドから起き上がって引き出しを開ける。
「おいで。縛ってあげる」
「………」
ゆっくりベッドから出て、駿馬の足元に膝をつく。
両手首をリボンを巻き付ける駿馬が優しく微笑む。
俺の好きな赤いリボンだ。
そのままベッドのパイプにリボンを括りつけて、両腕を上げた状態で動かせなくなる。
「一成」
微笑みに俺は自分で足を開く。
奥まった部分に駿馬の指がふにっと触れてから、ぬちゅっと挿入ってくる。
奥へ進み、俺の弱い部分に触れた。
身体を震わせると、俺の昂りにも触れて扱きながら駿馬が笑む。
「もうこんなガチガチになってる」
「あ、しゅん、っ…あっ!」
ぐっと弱い部分を押されて、びくんと腰が跳ねる。
手が自由な状態もいいけど、やっぱり縛られてると興奮する。
ぞくぞくして身体がガクガクして、快感が押し寄せる。
「あっ! あ、しゅんま…あ、あぅ…」
達しそうになったところで指を抜かれる。
昂りを扱いていた手も離される。
「あ、やだ…イかせて…」
腰を揺らす俺を駿馬は眺める。
「お願いする時は? なんて言うの、一成?」
イきたい。
欲しい。
早く、早く…。
「イかせてください…」
駿馬が自身の昂ったものをそこへ宛がう。
挿入ってくるものを想像するだけでイきそう。
ゆっくり駿馬の腰が動いて奥へと進んで、それからぐっと一気に奥を突かれた。
「あぁっ!! あ…あ…」
白濁を腹に散らす俺を駿馬が満足そうに見つめる。
続けてすぐに駿馬は動いて、俺は身体を捩らせる。
「だめ、まって…!」
「イッてすぐ動かれるの、一成好きでしょ」
「あ、っ! …っ!」
俺と駿馬の出会いは高校二年の時、同じクラスになった時。
腐男子な俺は、周りから引かれるくらい暗くて、友人なんていなかった。
昼休みも推し(アクスタ)と弁当を食べていた。
そんな俺になぜか興味を持ったのが、かっこよくて学校中の人気者だった駿馬。
休み時間にはクラス外の女子、先輩も後輩も同級生もみんな駿馬を見に来るという、俺と住む世界が違う生き物なのに、駿馬が選んだのは俺だった。
付き合い始めてすぐにアクスタが神隠しにあったので、弁当は駿馬とふたりで食べるようになった。
周囲からめちゃくちゃ見学されながらの弁当だった。
それからいっつも一緒。
大学も頑張って駿馬と同じとこに行ったから毎日が楽しかった…友人はいなかったけど、欲しいとも思わなかった。
大学二年の時に家賃安く済ませるためにルームシェアしない?って言われて悲しかった俺に自分でびっくりした。
いつの間にか駿馬が欲しくてたまらなくなっていた。
家賃のためのルームシェアじゃなくて、そばにいたいからって言う理由で一緒に住みたかった。
でもそんな事言えるはずもなく、ただ頷いた。
すぐに顔に出る俺の感情に駿馬は簡単に気付き、微笑んだ。
「抱いてあげる」
そう言って俺の両手首を赤いリボンで縛った。
付き合っていると言っても手を繋ぎもしなければキスもした事がなかったのに、いきなり急展開。
しかも俺が抱かれる側。
腐っていた俺は、知識だけはあったけど、まさか現実に自分が抱かれる事になるなんて思わなかった。
身体を暴かれていけばいくほど気持ちよくなって、駿馬に抱かれる事にこれ以上ない悦びを感じた。
大学卒業後も変わらずふたりで暮らして今に至る。
どんなに一緒にいても足りないくらい俺は駿馬をどんどん好きになる。
でも駿馬はこれまで一度も俺に『好き』と言ってくれた事がない。
言って欲しいとねだるのはなんだか怖くてできない。
…もし『別に好きじゃない』とか言われたら立ち直れない。
『好き』をねだって嫌われたくないし、離れて行かれたくない。
だから俺は駿馬の気持ちがわからないまま身体を開かれる。
…ほんとはさ、『好きだよ』とか言われながらイッたりしてみたいんだけどさ。
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