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苦しいくらいきみが好き
高校生・中学生・兄弟・幼馴染・近親相姦要素有・美形×平凡
兄の理人が好きな介と、介が好きな幼馴染の直生の話です。
少し暗いです。
近親相姦要素を含みます。
◇登場人物◇
湯浅 理人(ゆあさ りひと)高3
湯浅 介(ゆあさ たすく)高1
村原 直生(むらはら すなお)中3
*****
「んっ、やだ…理人、くすぐったい」
兄の理人の部屋から漏れ聞こえてくる声。
開いたままのドアの隙間からそっと覗くと、理人がベッドに座り、その膝に理人の通う男子校の制服を着た男が跨っている。
シャツの襟元は乱れていて、そこに理人が唇を寄せる度に男は小さく笑う。
…前と違う男だ。
「ねぇ、理人…キスしていい?」
「だめ」
「なんで? みんなにキスはだめって言ってるらしいね」
「だめだから」
俺がきゅっと唇を噛むと同時にドアが音を立てて開いてしまう。
ふたりの視線がこちらに向く。
「…介」
「誰?」
「弟」
「え、実の?」
「そう。同じ両親から生まれた血の繋がった弟」
「ほんとに!?」
「……」
悪かったな、似てなくて。
「なに見てんの? さっさと消えて」
男が理人の頬に触れたまま俺を睨む。
「…すみません。理人、俺、隣行ってくるからごゆっくり」
「……」
ドアを閉めて階段を下りる。
涙が零れそうなのを堪えて玄関を出て隣の家のインターホンを押す。
たぶんモニタで俺だと確認したんだろう、すぐにドアが開いた。
「いらっしゃい、介」
「ごめん、…いい?」
「うん。大歓迎」
直生は優しく微笑んで俺を自分の部屋に招き入れた。
◇◆◇
「ほんとに弟なの? 全然似てない」
「……」
「こっちずっと見てたし。変な趣味でもありそう」
「……」
介がいた場所をじっと見つめる。
見続けたところで閉ざされたドアは開かない。
「ま、いいや。理人、続きしよ?」
俺の膝に跨る男が媚びるように言う。
そう言えばこいつの名前はなんて言ったっけ。
…なんでもいいか。
どうせ名前を呼ぶつもりはない。
「………んや、なんか萎えた。帰って」
息を吐いて膝から降ろす。
俺もベッドから立ち上がると男は明らかに不機嫌な顔になった。
「え? やだ、なんで? せっかく来たのに!」
また俺をベッドに戻そうとするけれど、その手を避ける。
「いい子だから、な?」
首に唇を寄せて軽くちゅっと吸うと、あんっと声を上げる。
もっと萎えた。
「…しょうがないなぁ」
そう言って男はバッグを持って帰って行った。
玄関で見送って隣の家を一瞥してからドアを閉める。
自室に戻ってベッドに横になると心の中に冷たい風が吹き抜ける。
「………また直生か…」
溜め息を吐く。
「いや……」
―――そうさせてるのは俺、だ…。
呟きは静かに天井に吸い込まれていった。
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