You're mine?

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「潤哉、なにが食べたい?」 「……靖史の食べたいもので」 「じゃあホテル行こうか」 「……」 横断歩道を渡ったところにラーメン屋があるのでそこでいいんじゃないのか。 取引先の営業として接すると靖史はひどく機嫌を悪くするし、そうなると面倒だ。 ホテルじゃなければなんでもいい。 俺がラーメン屋ののれんをくぐると、靖史も続く。 「ラーメンが食べたかったの?」 「そう」 別に食べたかったわけじゃないけど、適当にそう答える。 「潤哉はほんとに可愛いなぁ」 年上の平凡男捕まえて『可愛い』はないだろう。 俺は自分のことはよくわかっているつもりだけれど、可愛い部分なんてこれっぽっちもない。 まあ、好きに思わせておけばいいか。 俺が味噌バターラーメンを頼むと、靖史も同じものを頼んだ。 「おそろい」 「……」 嬉しそうなのがよくわからない。 「なにがそんなに嬉しいんだ?」 聞いてみる。 きょとんとした顔。 それからまた嬉しそうな笑み。 「俺に興味持ってくれた?」 「いや、全然。聞いてみただけ」 「そういうとこも好きだよ」 さらっと“好き”を口にできるんだよな、この男は。 「……誰にでも言ってんだろ」 「えっ!?」 「え?」 「嫉妬!?」 「……」 確かに今のは嫉妬っぽい言い方だった。 なんでそんなこと言ったんだろう。 「違う」 「潤哉の嫉妬、最高に可愛いな。もっとお願い」 「だから違うって」 靖史はすごい笑顔だ。 “嬉しい”と、整った顔面全体に書かれている。 嫉妬が嬉しい? …いや、嫉妬じゃないけど。 こいつは嬉しいと、こんなに幸せそうに笑うのか。
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