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俺達の関係
大学生・美形×平凡
自分本位な攻め×攻めとの関係に悩む受けです。
〔攻め〕紘一(こういち)大学三年
〔受け〕郁也(いくや)大学三年
*****
俺達の関係ってなんだろう。
「紘一、電気消してよ」
「いいじゃん。郁也はもう寝るの?」
「…激しくされたから疲れた」
タオルケットを身体にかけて寝る体勢に入る。紘一はベッドに座ったまま本を読んでいる。こっちは色々されて腰が痛いのに。
「だからもう寝る」
「ん。おやすみ」
ちらりと紘一の顔を見てから瞼を下ろす。事後でも涼しい顔をしている。整った顔で、なんにもしてないよって顔しているのが憎たらしい。
パッと照明が落ちた。
「俺も寝る。おやすみ、郁也」
タオルケットの中にもぞもぞと紘一が入り込んでくる。
「…寝るの?」
「うん。もうキリのいいとこまで読んだから」
「そう…」
俺を気にしてってわけじゃない…と思う。
いつもそうだ。紘一の中心は紘一。
じゃあ、俺はなんなんだろう。
紘一とは高校一年から大学三年の今に至るまで一緒にいる。なんとなくそばにいて、なんとなくキスをするようになって、なんとなく身体を重ねるようになった。
大学に上がるときに家賃とか光熱費が楽になりそうだからとルームシェアを始めて一緒に住んでいる。友達以上ではあるけれど、恋人ではない。
はっきり恋人とくくられていないだけで、紘一の意識の中ではそう思ってくれているのかな、と考えたこともあるけれど、そうでもなさそうだ。
自分のしたいように、やりたいように。
まるで猫のように気ままな紘一。そんな紘一が好きなんだから、しょうがない。
ときどき、気まぐれにちょっとだけ見せてくれる優しさに、惹かれてしまったんだ。
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