震える

11/20
前へ
/20ページ
次へ
 私が向かったのは古びたラブホテルだ。中に入るまで振り返らず話もしなかったが、彼がついてきている気配はあった。  部屋について荷物を置き、上着を脱いでやっと私は彼の方を向いた。  「ここまで来れば、何して欲しいかわかる?」  私が言うと、変わらない表情の彼は「何となく」と言った。  「先に教えてくれない?何で君はあんな危ないことしてたの?」  理解されないだろうとは思うが、教えるべきだと思った私は一息ついて口を開いた。  「私には訣別したい奴がいるの。」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加