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高校生の時、初めて彼氏ができた。柔らかくて暖かい顔で笑う彼は誰に対しても優しかった。そんな人気者の彼がなぜ教室の端に一人で座っている私に告白してきたのか。彼はしきりに一目惚れだと言っていたが、それは単なる言い訳に過ぎないというのは後から知った。
付き合ってまもなく、彼は私の家に来た。築二十年を超えるアパートで私は母さんと二人暮らしだ。朝から晩まで働きに出ている母さんは日中家にいない。それを彼に話すと、「じゃあ千波の家なら二人きりになれるね。」なんて甘い声で言った。それに飲まれたのが運の尽きだが、そこで理性が働く程私は大人ではなかった。
初めはただ普通に過ごした。珍しい来客にタジタジしながら飲み物を入れて、お菓子も出した。私の部屋でたわいもない話をしていると、彼が言った。
「ねえ、お母さんはいつも何時に帰ってくるの?」
「日にもよるけど、九時はすぎるかな。」
そうなんだ、と聞こえてすぐだった。
突然彼が私に勢いよくのしかかってきた。何が起こっているのかわからないまま床に押さえつけられる。彼は私のセーラー服を荒々しく引っ張り、冷えたその手を私のブラウスの下に潜らせ私の体を弄った。その冷たさに体を跳ね上げると、彼は息を荒げながらニヤッと笑った。そこにあったのはまるで知らない彼の顔だった。
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