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混乱しながら小さく「やめて」と言った声は届かず、彼は首から順に口付けをしながら器用に自らのワイシャツも脱ぎ、ベルトを外した。彼の生暖かい息が体にかかる度背筋がゾクっとする。
彼が私のスカートの中に手を入れた瞬間、激しい恐怖を覚えた。抵抗するも、彼は力強く私の腕を掴んで空いた手で私の下着に手をかけた。
「いや!!」
私は足で彼を押し除けようとした。すると彼はそれを掴み、嫌な笑みを浮かべた。
「バカだなあ。」
私の両脚を開かせ、ズボンを下ろしていた彼はそこに膝で立った。
「抵抗されると興奮すんだよね。千波も無理やりされるの好きでしょ?」
そう言いながら、彼は自分のペニスを私の中に押し込んできた。無理矢理ねじ込まれるような感覚が股に集中し、酷い痛みで全身が悲鳴を上げた。彼も少し顔を歪めたが、その行為をやめようとはしなかった。
痛がる私など気にもとめず、直に訪れた快楽に溺れて彼は激しく腰を動かし続けた。対する私は終始恐怖と嫌悪感に襲われていた。
好きだったはずの彼はもはやいない。目の前で一人私の体を使う彼はバケモノだ。今まで私に向けた優しい顔も、甘い声も、全部このためにあった。それに気づいた今、悔しさで泣くことしか出来なかった。
「たまんない。」
勝手に反応する体ときれる息、溢れる涙に濡れる険しい顔を見ながら彼は笑うだけだった。私の感情が乱れる度、彼の興奮は掻き立てられた。
結局されるがまま弄ばれ、満足した彼は私を突き放して「また来る」と言い残し、家を出ていった。
こんなはずじゃなかった。外向けの彼は運動も勉強も出来て優しい王子様。それが性欲にまみれた怪物だなんて。
すっかり暗くなった部屋で一人。視界はまだ歪んでいた。
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