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私の部屋以外ではいつもの彼だが、あれからその声や仕草全てに脅しの意味が含まれていると感じ、彼が側にいると鳥肌が収まらなくなった。しばらく続いたその生活からようやく解放された頃にはすっかり身も心も蝕まれていた。
限界を知った私はみんながいる前で彼をふった。何も知らないみんなは騒然とし、次々と私を罵倒した。当の本人である彼は目を丸くした後一つ息を吐いて、まるで被害者のように言った。
「辛かったならごめん。今までありがとう。」
こうして出来上がった、「可哀想な彼」と「悪女」という虚像。それに便乗し次から次へと現れる偽善者。その餌食になった私は、高校三年間をいじめに耐える日常として過ごした。
正直悪魔の形相をした彼に犯される日々より、クラスの人たちに罵られる方がマシだった。
だから文字通り別れられたその日から、数ヶ月に渡った地獄を脱することが出来た。
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