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路地の中間辺りで男は荷物を地面に放り投げ、くるっと踵を返して勢いよく私をつかみ壁に押し付けた。同時に男は私に顔を近づけ、唇を私のそれに押しあてた。何度も付けたり離したりを繰り返しながら、右手で私のニットを引っ張り上げ、その下のシャツも持ち上げた。まるで氷のような手のひらが突然私の腰にあてられ身震いを起こす。男は構わずキスを続けながら私の体をまさぐった。
「口開けろ」
言われるまま口を少し開けると、その隙間に男は舌をねじ込んできた。私の舌に触れてひたすらに絡めようとする。興奮する男の甘い息が私の口の中を満たす。
それなのに、私はずっと震えている。
寒いからだと言い聞かせても、いつまで経っても私は男を受け入れようとしない。ましてや震えはどんどん激しくなり、いつものように動悸が起こった。
男が下着に手をかけた時、自分への言い訳も効かず恐怖の限界が襲って来、私はまたしても相手を拒絶した。男を突き飛ばし、私は逃げ出した。
「おい!!」
通りに出られる一歩手前で男は私の腕を掴んだ。
「嫌!離して!」
「何でだよ!」
男は混乱しているようだった。無理もない。盛り上がる最中に行為を止められるのは苦しいのだろう。
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