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ちょうどその時、目の前を誰かが通った。
「助けて!!」
私は叫んだ。その人がこちらを見た瞬間、男は私の腕を離した。私は路地から飛び出てその人の後ろに隠れる。
「あ、いや、これは、その...」
男は見られたことに動揺している様子だった。
「無理やり連れていかれて...変なことしようとしてきて...」
私の言葉で、男は怒りに表情を変えた。
「はあ?!お前が誘ってきたんだろ?!」
暗い通りから恐怖に怯える女が飛び出て来た時、その後ろから追いかけてきた男の話を一体誰が信じるだろうか。怒りに任せて私を引っつかもうと向かってきた男を、間に立っていたその人は優しく止めた。
「まあまあ。落ち着いて。怖がってますから、彼女。」
男は気が収まらない様子だが、揉め事を大きくしても自分に罪が擦り付けられるだろうと察したようで、終始私を睨みつけブツブツ文句を言いながら去っていった。
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