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前回までのあらすじ。
信じていたキラキラ白王子様が、実は絡んできた不良とグルでした!
どうする夢乃、大ピーンチ!
って、少女漫画風にあおりを入れてる場合じゃない。
私は今度こそガタガタ膝から震えてしまった。
「その人たちとお仲間だったんですか……っ?」
「仲間っていうか、ビジネス相手だよ。いや、僕が雇い主で彼らは従業員かな。金を払っただけで僕の手足となって動いてくれる便利な人たちだよ」
もう、発想がヤクザですよ先輩。怖すぎるでしょ!
「先輩は、後輩さんのことでヤンキーを憎んでいる正義の人じゃなかったんですかっ?」
「そう思わせておいた方が女の子たちからの支持を得られるからね」
先輩は綺麗な顔でにっこりと微笑む。
「後輩のことは正直どうでもいいし誰が犯人なのかも興味はないよ。でもこの件で胸を痛めている後輩思いで優しい先輩っていう印象はすごくいい。だから彼らと手を組んで、悪役になってもらっていたんだ」
「……ひどい! さっきもそうやって不良から私を救う正義のヒーローを装ってたんですね!」
この舞台はすべて、先輩の脚本・演出によって用意されたものだったんだと知って私は憤慨した。
どうりでタイミングよく絡まれたと思ったよ……。
先輩は最初からこの人たちと一緒にいて、駅前で偶然見かけた私を引っ掛けようとしていたんだろう。
「騙していたんですね、私のこと!」
「見かけによらず、バカじゃなかったね夢乃ちゃん」
「見かけによらず……ってどういう意味ですかっ」
ムキー! と憤慨する私に、怖い笑顔の先輩が近づいた。
「でも、君は悪い男の方が好きなんだろ? だったらこのまま僕と付き合わないか」
「な、何言ってるんですかっ?」
背後の壁にドンとされて、先輩が私のあごをクイと持ち上げた。
「簡単に手に入る子じゃもうつまんないって、最近思うようになってきたんだよね。抵抗される方が刺激的で面白いし……ねえ、本気で考えてみない? 僕も君となら本気になれるかも」
白王子改め、真っ黒王子の唇が迫る。
甘くてエロい誘惑に、心臓が激しく波打った。
けど。
「全力でお断りしますっ!」
綺麗な綺麗なその横面に、私は思い切りビンタを食らわした。
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