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「どうしてこんなことするんですか……」
「僕を蔑ろにして佐治くんなんかに尻尾を振った報いだよ」
「ううっ……」
私は涙をこぼして地面にしゃがみ込んだ。
ごめんなさい、たっくん。
私のせいで……。
また暗い部屋の中でポツンとしているたっくんを思い浮かべ、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「おい木更。女泣かせるなんてサイテーだぞ」
先輩の手下のヤンキーが笑いながらそう言うのが聞こえた。
「可哀想だから俺たちが慰めてやろ」
「好きにすればいいよ」
そう答える、先輩の冷たい声も。
私はハッとして顔を上げた。
気がついたら、ヤンキーの三人組がニヤニヤした顔で私を囲い込んでいた。
「いや……やめてくださいっ」
彼らは三人がかりで私の腕を掴んで立たせようとする。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いよーっ!!
どんなに暴れても彼らはビクともしない。振り解けない。
「助けてっ、誰かーっ!」
通りの向こう側にいる人たちが誰か気づいてくれないかと叫んだけど、そちらにはゲーセンがあるらしく、喧しいゲーム音楽が聞こえている。私の声はきっとそれでかき消されているんだろう。それに、そもそも治安が悪いから騒いだらもっとたくさんのヤンキーを呼び込むことにもなりかねない。
絶望だ。人生終了パターンだコレ。
目の前が真っ暗になる。まさかこんなところで終了するなんて思ってなかった……。
すると。
「最後のチャンスをあげようか、夢乃ちゃん」
必死に抵抗する私を見下ろして、木更先輩が言った。
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