それは痛恨のミスでした。

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   私は辺りをキョロキョロと見回してみた。  もしかしたら木更先輩が屋上のどこかにいるんじゃないかと淡い期待を込めて。でも、何度首を動かしてもここにいるのは赤い髪のこの人だけ。  もしかして、私はやってしまったんでしょうか。  昼休みに慌てて木更先輩の下駄箱に突っ込んできたラブレター。  まさか……その下駄箱、この人の下駄箱だったなんて、奇跡の凡ミスを犯してしまったんでしょうか⁉︎  よりにもよって、この人に愛の告白を⁉︎  「嘘でしょ……」 「嘘?」 「あっ、ち、違いますっ! 今のは、なんでもありませんっ」  私は膝をガクガク震わせながら、こちらを睨みつけてくる野獣に向かってヘラヘラとした笑顔を見せた。  困った時はとりあえず笑顔だ。  愛嬌だけはいいと褒められ、育てられてきた。大抵の揉め事はこの笑顔で解決してきた信頼と実績が 「何笑ってんだ。ふざけてんのか」    はい、一瞬で崩れ去りましたーー!!!  笑顔が、効かない!!!  ほぼ最終兵器だったのに! どうしよう⁉︎    野獣が私を睨んだまま近づいてくる。  終わった。私の人生。このままこの人に乱暴を働かれて仲間のヤンキーにもなんやかんやとオモチャにされてボロ雑巾のように道端に捨てられる運命が待っているんだ。  思い返せば、波瀾万丈の人生だった。  こんな時だけど、ちょっとだけ私の過去を振り返らせてください。
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