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『できた! これで雪だるまの完成だ!』
『ふふ。初めての共同作業ってやつだね。フウタくん』
いたずらっぽい彼女の言葉に、僕の顔はカーッと熱くなった。
『耳が真っ赤だけど、どうしたの? 寒い?』
分かってるくせに、なんていじわるなんだろう。
僕がプイッとそっぽを向くと彼女はフフッとお姉さんっぽい笑みをこぼした。
『おーい、どこだフウタ! そろそろ帰るぞー!』
向こうの方から声がした。この声はたぶんヨウスケかな?
『も、もう行かなきゃ。じゃあね』
『待って! フウタくん』
恥ずかしさを隠すようにかけ出した僕を彼女が呼び止めた。少し、声が震えていた気がする。寒いのだろうか。
思わず彼女の方を向き直ると、栗色の瞳が不安そうに揺れていた。
『フウタくん、きっとまた会いに来てね。ここでずっと待ってるから』
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