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再会した僕とユキはフカフカの雪の上に二人で寝そべって、昔話をした。
皆元気?ってユキが聞くから、カズヤもノリツグもクミもヨウスケも元気だよって伝えた。でも皆ユキのことを忘れてるなんて、さすがに可哀想で言えなかった。
「でも皆、私のこと忘れちゃったでしょ?」
「えっ……な、なんで」
「気にしないでいいよ、昔からずっとそうだから。私の存在なんて誰の記憶にも残らない。雪みたいに溶けて消えちゃうの」
僕は何も言えなかった。ユキは、自分が皆に忘れられちゃってるって知ってたんだ。それってなんて悲しいことだろう。
返事に困った僕を見かね、ユキはいつかみたいにフフッと笑った。
「だけど、フウタくんだけは覚えててくれた」
「……うん」
「あ! その顔、さてはここに来るまで忘れてたでしょ!」
「げっ。それは、その……」
「これでも食らえ!」
ユキの投げた雪玉が僕の服に当たる。軽く握られただけの柔らかい雪玉だったけど、冷たさでキュンッて身体が縮こまる。
ユキがケラケラと笑う。仕返しに僕も雪玉を投げる。きゃあという可愛らしい悲鳴に、なぜか投げた僕の方がキュンッて縮こまった。
それから僕たちは一年の空白を埋めるようにいっぱいいっぱい遊んだ。二人だけで雪合戦をして、また雪だるまも作った。
去年作った雪だるまの隣に少し大きな今年の雪だるまを並べて置いた時、まるでカップルの雪だるまみたいだなってこっそり思った。
「なんだかカップルみたいだね」
わっ……。
心が通じ合ったみたいで、恥ずかしいのに嬉しい。「また耳が赤いよ」なんていじわるな言葉にさえドキッとする。
こんな時間がずっと続けばいいのにって思った。
いや。
だったらまた、僕がユキに会いに来ればいいんだ。
これからも、何度でも。
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