第3話

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『クラフトレシピ。古今東西、ありとあらゆる物を作成できるレシピ』 『鑑定(絶)。この世の全てを鑑定できる』 『魅了(微)。異性に対して微小な効果のチャームを与える』 『健康体(超)。病気やケガなどに対しての耐性が非常に高い』 『鑑定眼。対象のおおよその価値を見抜く』 『異世界常識。異世界で生活するための最低限な常識』 『幸運(大)。説明不要』  頭の中で再生された7つのスキルとその説明文。  どうやらこれが俺の貰った能力らしい。  どういう原理なのか分からないけど、しっかりと頭に刻まれたソレはもう二度と忘れられそうになかった。 「とりあえず、今の状況じゃ使えない物ばっかだな。……それにしても、だんだん説明が雑になってきている気がする」  幸運(大)に関しては、もはや説明する気もないみたいだし。  たぶん途中から面倒くさくなったんだろうなと言うことが、ひしひしと伝わってくるようだった。 「結局は、勘で動くしかないってわけだ」  いつまでもここで突っ立っていても仕方ないし、とりあえず適当に歩き始めるとするか。  見晴らしもいい草原だから迷うこともないだろうし、途中で道か川を見つけられたらそれに沿って歩けばいい。  なんて楽観的に考えていると、しばらくして目の前に道のようなものが見えてきた。  舗装はされていない砂利道だけど、どうやら頻繁に使われているらしく車輪の跡がくっきりと刻まれていた。 「ラッキー。この道に沿って行けば、人の居る場所につけるだろ」  もしかしてこれは、幸運スキルの効果なのだろうか。  予想よりもあっさりと進むべき道が見つかったことに気を良くしながら、俺はのんびりと道に沿って歩を進める。  そうやってしばらく歩いていると、やがて目の前に何か大きな塊があるのが見えてきた。 「なんだ、あれ?」  見たところ、馬車みたいだけど。  実物を見たことがないのではっきりとは言えないけど、遠くに見えている物はゲームやテレビなんかで時々見るシルエットとそっくりだった。  そんな馬車が、道の真ん中で全く動いていないように見える。 「いったいどうしたんだろう?」  気になって近づいていくと、やがて理由が分かった。  遠くからでは分からなかったが、どうやら馬車は横向きに倒れてしまっているみたいだ。  そして周りには数人の男女が居て、男たちは必死に馬車を戻そうとしている。  そんな彼らを少し離れたところで眺めていると、馬車を引いていたであろう馬の世話をしていた女性と目が合った。 「あっ、いいところに! そこのあなた、ちょっと手伝ってくれない?」  目が合うと同時に素早い動きで俺に近寄ってきた女性は、そう言いながら俺の手を引いて馬車の方に戻る。  どうやら俺に、拒否権はないらしい。  引っ張られるまま馬車の方に連れられて行きながら、俺は女性に聞こえないように小さくため息をついた。
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