第2話

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「そうそう。……で、どんな能力が欲しいかな?」  え? 選ばせてくれるの? 「もちろん、無理なものは無理っていうよ。でも、できるだけ希望は叶えてあげましょう」  そう言ってドンっと胸を叩く自称神様。  そんなドヤ顔の神様を見てやっぱりちょっと不安になってくるものの、とりあえず試しにいろいろ言ってみることにした。 「とりあえず、金に困らない生活がしたい。それと女にモテたい。あとは二度と過労死しないくらい健康な体が欲しいな」 「けっこう欲張りだね。しかもところどころ僕を責めてる気がする」 「まぁ、実際そうだしな」  逆に、もう許されてると思ったんだろうか。  意外と根に持つタイプの俺が、こんなことで簡単に許すわけないだろ。 「まぁ、無理なら別にいいよ。その時は適当にやってくれ」 「いやいや、無理なんて言ってないでしょ。全部叶えてあげるとも。……ついでに色々オマケしちゃおう」 「できれば、余計なことはしないでほしいんだけど」  いまいち信用できないし。  そんな俺の気持ちを無視して、神様はいつの間にか現れていた半透明のパネルを楽しそうに操作している。  そういう光景を見ていると、やっぱりこいつって本物の神様なんじゃないかと思えてくるわけで。 「いや、本物の神様だから。いい加減に信じてくれてもよくない?」  どうやら俺の心の声は、都合よく神様に聞こえているらしい。  だったら、俺のこの不安もしっかり感じ取ってほしいものだ。 「……よし、できた。とりあえずこれで君を僕の世界に送る準備はすべて完了だ。それじゃ、覚悟はいい?」 「いきなりすぎて覚悟もなにもないだろ」 「よし、大丈夫みたいだね。じゃあ、しゅっぱーつ!」 「誰も大丈夫なんて言ってないんだけど……。うわぁっ!?」  急にどこからか現れた光に包まれて、俺は思わず悲鳴を上げる。  目も明けていられないくらい眩しい光の中で、なぜか神様の姿だけははっきりと認識することができる。 「じゃあ、これで君とはお別れだよ。与えた能力は直接君の頭に流し込んでおくから、あとでちゃんと確認するように」 「怖すぎるから! ちゃんと口頭で説明を……!」  言い終わる前に、俺の意識は光に飲まれていく。 (もしかしてこいつ、神様っていうより悪魔なんじゃねぇ?)  意識が消える直前に、そんなどうでもいい事を考えながら。
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