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街を駆け抜ける疾風は
都会のざわめきが 耳について離れないよ
無機質な街の絵は もう見たくない
人もビルも車も 真冬の氷のように
欲しくもない恵みを 圧し続ける
人いきれの路上 駆け抜ける
懐かしい映画の 少年気取りで
そびえ立つ街路樹 流れゆく
たどり着いた港 心の根が 汽笛に惑う
海辺の彩りが なくした色取り戻すよ
空も雲も水面も 昔のままに
砂に残る足跡が 大人の証のように
無為なときの流れを 浮き彫りにして
草いきれの脇道 駆け抜ける
遠ざかる潮騒が 虫の音に変わって
くちなしの花びらに 包まれて
たどり着いた場所は 僕の町 幻の疾風
茜色の空を 突き抜ける
燃え狂う魂が 海風をなぶって
偽りのぬくもりを たたき割れ
生まれついた場所は 僕の世界
風薫るこの世界
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