後悔

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「うぇ……?いま何時ぃ、」 ぼんやりとした視界の隅で、いそいそと動く生き物に声を掛ける。 「おー、雪乃おはよー。もう10時でございますよお」 声の主はやや画質の良くなった視界で、口角を上げた。バッチリ決められたツインテールは、彼女といえばな髪型だ。地雷ファッション、と世間では呼ばれている。 「で、悪いけど今日中に出てってよ」 いきなり放たれた言葉だったが、特に驚きはせず、代わりに口を尖らせた。 「えー。なんでー。」 「今日彼氏くるのー!だからごめーん」 泊めてもらっている身としては文句の言いようがなく、仕方なくしぶしぶ頷く。 間もなくして、追い出されるみたいにこの家とおさらばすることとなった。 一応関係を説明しておくと、 あの子は、お互いにとって都合の良い存在だ。 私にはそんな関係の女の子たちがたくさんいる。 学校にも行かず、何やらをしているそんな子たちのところを転々としながら、私は家に帰らずに済んでいる。 ちなみに私は学校には気が向いたら行く、みたいな。そろそろ退学かもとぼんやり思う。 平気でそんなことを思うようになってしまった。 雪が降っている。 どうでもいいことだけど、私が生まれたときも、雪が降ったらしい。私の誕生に、母の死に、世界が泣いてたみたい。 つくづく思う。  私、生まれてくる必要なかったよなあ。 込み上げた黒い感情を、白い世界で自嘲した。
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